外港の文化的景観

 城下町の周辺で古い町並みを残しながら、生業を続ける外港の文化的景観がある。金石港と大野港は、それぞれ犀川と大野川河口近くに栄えた古くからの港町である。両港とも、かつては北前船が入港して賑わった金沢の港町として、まちなみに当時の面影をよく残している。
 【金石港】
 古くは宮腰(みやのこし)と言われた。金沢を代表する港の金石港は、金沢城下町の建築に不可欠な木材の輸入港や大坂への藩米積み出し港として重要な役割を担っていた。そのため、港周辺には木材加工業種が発展し、近年まで、へぎ板製造や板葺職人がたくさん住んでいた。この伝統は、今も製材、割箸やキリコ製造等の木工業に受け継がれている。
 金石港を代表する豪商銭屋五兵衛が活躍したかつてのまちなみ景観を保存するため、北前船で賑わった旧回船問屋や町家を中心に約1・64ヘクタールが金沢市こまちなみ保存区域に指定されている。
 【大野港】
 大野港は、河北潟・浅野川の水運を利用して城下への物資輸送を担っていた。江戸時代に紀州から伝わったとされる醤油造りは、江戸後期には60軒を数え、現在その伝統を引き継ぎ北陸最大の醤油生産地に発展している。
 歴史ある町家と醤油蔵が建ち並ぶこの港町の風情を残すまちなみ景観は、約8・3ヘクタールが金沢市こまちなみ保存区域に指定され保護されている。

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