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松月寺のサクラ

 通称「大桜」とも「御殿桜」ともいわれ、枝張りは東西約20メートル、南北約15メートルに達する。3代利常が小松城内にあったものを移植したとも言われている。国指定天然記念物。
 金沢市寺町の松月寺境内に生えるサクラの大木で、寺の境内から土塀を越えて道路側に大きく張り出している。
 松月寺の伝承では、もともと小松城内に植えられていたものを境内に移植したもので、1648(慶安元)年に当時の住職が、小松城に隠居していた利常から拝領したものという。江戸時代にはこの桜に対して敬意を払うため、藩主もこの桜の下では槍を伏せて通行したといわれている。
 ヤマザクラ・オオシマザクラ系の一品種で、萼片(がくへん)が開花とともに反巻(はんかん)する性質があり、毎年4月中旬頃に花径5センチ前後の大振りの白い花を咲かせる。樹齢は定かではないが、寺伝を基にするならば400年弱と推定される。江戸中期の儒学者室鳩巣(むろきゅうそう)がこの桜を題材にした詩歌を詠んでいるほか、泉鏡花の小説「桜心中」に登場する「江月寺の桜」のモデルとなるなど、古くから金沢のシンボルとして親しまれている。

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