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成巽閣庭園

 飛鶴庭(ひかくてい)と呼ばれる平庭で、辰巳用水から曲水を取り入れている。国指定名勝。指定面積644.71平方メートル。
 1863(文久3)年、13代斉泰が母真龍院の屋敷として作った巽新殿の一部である成巽閣内の清香軒・清香書院に面して庭園がある。「飛鶴庭」と称され、露地的な趣のある平庭である。
 一面苔(こけ)で覆われた庭園には、辰巳用水より導かれた兼六園の曲水の分流が遣水として緩く曲流し、清香軒の土縁(どえん)に流れている。この曲水を中心として要所に捨て石、手水鉢(ちょうずばち)、灯籠、樹木を配し、大振りな飛石が空間を結んでいる。曲水は石組護岸のほかに漆喰(しっくい)により成形された部分を交え、これが全体に穏和な雰囲気をつくり出している。
 茶室前の巧みな石組の遣水に沿うように、六地蔵の手水鉢がある。また、清香軒前の遣水を越えて、沢渡りを渡った所に六地蔵が彫られた石灯籠があり、飛鶴庭の青苔を背景に美しい添景となっている。
 樹木は、アカマツ、クロマツ、マキ、モッコク、モミジ、ゴヨウマツなど常緑樹と落葉樹、広葉樹と針葉樹を巧みに配植してあり、また、背景となる兼六園のアカマツの赤い幹が彩りを添えている。

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